ゆずき & いどばた

管理人ゆずき

管理人ゆずき

みんな集まれ、この指とーまれ。
日ごろ思っていること、考えていること誰かに話したい。聞いてもらいたい。 自分の得意な事、誰かに教えてあげたい。私のしらないこと、誰か教えて。 行きたいときに行き、帰りたいときに帰る。
あったらいいね、そんなとこ!

視覚障害者と仲間の集い主宰・木野ゆずき


できることは何でも

東京新聞(2014年3月3日)「ひと物語」で紹介されました。
以下に掲載記事より引用します。

目の見えないハンディキャップはあるけれど、それ以外のことは他の人と同じように生きていきたい

毛呂山町の鍼灸(しんきゅう)師木野ゆずきさん(58)は二〇〇五年、視覚障害者と仲間たちの集まり「いどばた」をつくった。日常生活の知恵や、音声付きの時計、体重計など便利な福祉機器を教え合うほか、趣味の楽器の発表会、旅行など、メンバーの話し合いやリクエストでイベントを決めていく。ここ数年は小中学校での福祉体験授業にも協力する。

「視覚障害者が情報を持っていないことが気になっていた。役所や社会福祉事務所に相談することも知らない人が多かったんです」。最初は毛呂山、嵐山両町と鶴ケ島市の視覚障害者六人の集まりだった。視覚障害者には、生まれたときから障害のある人もいれば、病気が原因で見えなくなった人もいる。

口コミでメンバーは増え、現在は、障害のない晴眼者も含めて百人に。集う場所も木野さんの自宅から鶴ケ島市や坂戸市などに広がった。「会則も決まった行事もないから『会』ではないんです。私は管理人」と木野さん。

木野さんは県福祉教育・ボランティア学習推進員も務めており、数年前から毛呂山町立泉野小学校などで「総合的な学習の時間」を使った福祉体験に協力している。いどばたメンバーも駆け付ける。

体験では、子どもたちにアイマスクを付けてもらい、卓球やブラインドサッカー、音声パソコンなどに挑戦してもらう。手探りで支払いやおつりを確かめる「お買い物体験」もある。「子どもたちは喜々としてチャレンジするので、予定の二時間では足りないほど」という。

町社会福祉協議会が年一回開く「ふれあい広場」では、いどばたメンバーらによる「暗やみ体験」が人気を集める。町福祉会館の一室を完全な暗闇にして、参加者は植木で作った森を散策し、すのこの橋を渡り、模擬喫茶店で飲食に挑戦する。

いどばた以外にも仲間が広がっている。「映画を見たい」という視覚障害者の願いをかなえるために〇九年、映画館で映画の情景をイヤホンで説明する音声ガイドボランティア「声なびシネマわかば」も立ち上げた。音声ガイドの許諾を求めて都内の映画会社にも交渉に出かける。

「できることは何でもする。できないことだけをサポートしてもらう。だからメンバーの晴眼者も仲間としての参加です。いどばたは私にとって宝物」という。(中里宏)


<きの・ゆずき>山形県立盲学校卒業後、同県天童市の整形外科病院勤務を経て、先輩を頼って毛呂山町の埼玉医科大に移り、リハビリの訓練士として勤務。結婚後は自宅で鍼灸マッサージの治療院を開く。活動が忙しいため「治療院は開店休業状態」と笑う。夫と2人暮らし。

東京新聞(2014年3月3日)掲載記事「ひと物語」
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